一足早いクリスマスプレゼントはキラキラ輝いていた

11月16日、午後5時55分。新国立劇場

 

これからELF The Musicalの世界に踏み込んでいく期待と、織山尚大くんの姿を初めて目にするという緊張で、手が震えっぱなしだった。

どうして私はこんなにドキドキしているんだろう。現場特有のこの胸の高鳴りは久々に感じるものだった。

 

いよいよ幕が上がり、コング桑田さん演じるサンタクロースが心地の良い声でプロローグを語るのをじっと聞いていた。

まもなく、岩崎大昇くん演じるバディが登場する。

大昇くんは出てきた瞬間からノースポールの住人にしか見えなくて、こちら側が羨望の眼差しを向けてしまうほどの純粋無垢なお芝居はとても素晴らしかった。

光に照らされながら階段を上っていく大昇くんの姿はとても輝いていて眩かった。

 

そして、幕が開いてしばらくして、その時はきた。

 

「はいパパ!」

 

透き通るような声が会場に響き、青い服の男の子が勢いよく飛び出した途端、私は考える間もなくオペラグラスで覗き込んだ。

初めて生で見る織山くんは、頬がピンクに染まっていて、横顔が美しくて、髪の毛には天使の輪がついていて、息子感があふれていた。

そしてとにかく声が良い。歌の前評判は聞いていたけれど、舞台に真っすぐに響くこの声を聴くだけでうっとりしていたので、歌声を聴いたらどうなってしまうのだろうと今後の自分を危惧した。

 

私が最初に織山くん演じるマイケルの歌声を聴く機会は不意に訪れる。

香寿たつきさん演じる母親のエミリーと別所哲也さん演じる父親のウォルターが歌いながら言い争っていた時。

 

「あ~またケンカしてる~」

 

!?!?!?!?!?!!?!?!?

今の声だれ!?!?!?!?!?!?!?うま!!!!!!!?!!

 

と驚くと同時に、その声の主は紛れもなくマイケルだということが分かった。

織山くんの歌声がここで聴けた。そしてその歌声がこんなにも確実で、美しくて、透明だなんて。

 

歌と同じくらい楽しみにしていたのが演技。

父親のウォルターをキッと見る鋭い視線、時計やスマホをチラチラ気にする現代っ子な仕草、他の人の台詞に対してコロコロ変わる表情。

マイケルの台詞がない時も一瞬たりとも見逃すことができなくて、彼のお芝居に

対する熱意をひしひしと感じてうれしくなった。

そんな中でも、口の端をキュッと結んだり、事あるごとにかかとを上げたり、”織山尚大”の部分がところどころ見え隠れするのがとてつもなく愛おしかった。

マイケルがダンスをガッツリ踊る場面は少ないけれど、ちょっとしたステップがリズムに完璧にはまっていたり、一回のターンがこの上なく美しかったり、そういうところにも織山くんのこだわりを感じられてなんだかとても誇らしかった。

 

そして、いよいよエミリーとマイケルのデュエットの場面。

真っすぐ、純粋な声だった。会場中に広がる透明で美しい歌声は、何のしがらみが入る隙間もないまま私の心に直接響いてくる。

香寿さんの暖かい歌声とのハーモニーは素敵すぎてずっと聴いていたかった。

歌っているときの切なく一生懸命な表情は、私が初めて織山くんの存在を知ったパフォーマンスのそれと似ていて少し泣きそうになった。

 

バディとマイケルの絡みは全部が全部本当に微笑ましくて、

「ちょークールじゃん!!!」で手を繋いでくるくる回っている姿は可愛すぎて危うく地球が割れるかと思った。

スパゲティの場面は言わずもがな...「ボクはフトンデス」藤森蓮華さんもおっしゃってたけど本当にLINEスタンプにしてほしい。

一幕の最後の方、マイケルの出番はあまりなかったけれどそこで登場したのがローラースケートを履いた織山くん。通称「隠れ織くん」だ。

ローラースケートと言ったらまちゅパラのあのズッコケ光景しか思い浮かばんのだが...と9割方心配な気持ちで見ていると...

これがもうスイスイ滑るんですよ。え!?!?!すごくない??

最初に観たときはただただカッコよく滑る織山くんに見惚れていたけど、翌日の公演でしっかり見ていると、出会った女の子とのやり取り、声は聞こえないけれど、時計を眺める仕草、申し訳なさそうに女の子を見つめる表情でその空間でのドラマが見えてきて、彼の凄さを垣間見た気がした。

 

そしてそのローラースケートのシーンで、ジョヴィ役の柏木ひなたちゃんの歌声が解禁される。関ジャムでの特集を観てその歌声に惚れ込み、動画も事前に観たりしていたので、この時を密かに楽しみにしていた。

生で初めて聴いたひなたちゃんの歌声は、とっても綺麗で、チャーミングで、でもしっかり芯があって、力強くて、思わず全身に鳥肌が立った。

会場全体がひなたちゃんの歌声に魅了されている空気を肌で感じた。

 

二幕の最初。マイケルは登場しないけれど、ここでまたもや「隠れ織くん」の出番である。

その前のレポでサンタさんたちに訪れる織山くんの存在は知っていたので、開幕直後、右端ですやすや寝ている小柄なサンタをロックオンした。

鋭い目つきで歌うサンタ。なんだか目が合った感じがして(違う)ドキドキしてしまう。

そしてサンタたちのダンスシーン。小柄なサンタの激しい舞は間違いなく織山尚大のもので、ずっと画面の前で恋焦がれていた織山くんのダンスが今ここに存在しているという事実だけで涙が出そうだった。

 

しばらくして、エミリーとマイケルの二回目のデュエットが始まる。

マイケルが空を飛ぶソリを見つけた時、階段を上るだけで心配になるありえんモンペ()を発揮してしまったけど、階段をテンポよく下りながら低音パートを歌う織山くんは輝いていて、やっぱり歌がうまくて、エミリーとマイケルが目を合わせて歌う場面は、とてもとても素敵だった。

 

ウォルター家族がサンタクロースと出会う場面に突入。

マイケルとサンタ、どんな掛け合いが行われるのだろう?と食い気味に見ていたら、サンタ役のコング桑田さんがマイケルに「ぴよんぴよん!」と言い放った。「ぴよん(?)」と?マークが浮かんだ時、マイケルが織山尚大を見え隠れさせながら

「...それ、ぴえんだよたぶん」とツッコんだのだった。

その時、客席が「それだ!!!」となって笑いと拍手でいっぱいに包まれた。

もちろんコングさんのパスが最高に面白かったのだが、さまざまな界隈のファンの方のいる中で織山くんのアドリブがこんなにも盛り上がったのがとても誇らしく、幸せな気持ちになった。二人の掛け合いが最高すぎて、しばらくマスクの下で笑いが止まらなかった。

 

物語もフィナーレを迎え、ノースポールで楽しく過ごすバディとジョヴィ、そしてそこに現れる白い天使、マイケル。

あまりにも可愛すぎて、舞台上にいる人たちがみんな天使にしか見えなくて、幸せな空間過ぎて、思わず涙がこぼれてしまった。

歌いながらキレキレのダンスを踊る姿も、丁寧にお辞儀している姿も軽快なステップではけていく姿も、一瞬一瞬がかけがえなくて、大好きで、見逃せなくて...

 

ああ、やっぱりいちばん大好きな人だ。

彼が舞台で輝く姿を、これからもずっと見続けていきたいと改めて強く感じた。

 

本当に最初から最後までずっと楽しいミュージカルで、舞台上からカンパニーの皆さんの暖かさ優しさがひしひしと伝わってきた。

もう、誰にお礼を言えばいいのかわからないけれど、この舞台に出逢わせてくれてありがとう、と心から思う。

カンパニーの皆さん、ありがとう。スタッフさん、ありがとう。

大昇くん、ありがとう。

織山尚大くん、ありがとう。

 

一足早い、最高のクリスマスプレゼント。