サマパラ、忍パラ、パワパラ

2020年8月15日。一年前は想像もつかなかった夏。

 

書きかけの課題を無理やり置き去りにして、私はパソコンをせっせとテレビの前につなげ、馴染みのある曲のオフボーカルを聞きながらぼうっと画面に向かっていた。

大きな、そして明るい、でも少しばかり歪なかたちをした期待と片隅の不安を背負いながら、時計の針が90度になるのをまだかまだかと待ちわびていた。

 

迎えた一公演目。

 

少年忍者のSummer Paradise 2020は、なんとなく予想していた『お祭り忍者』からスタートした。

 

私の目に飛び込んできたのが先だったか、私が見つけ出したのが先だったか。

瞳の中のセンターにいるのは、壊れてしまいそうなほど激しく踊る織山尚大くんだ。

なぜだろう、私は突然、感動するとともになんだかばつの悪い気分になったのだった。

きっと、目の当たりにしてしまったからだと思う。それもリアルタイムで。

一瞬一瞬を大切に、全力で、何かを伝えようと一生懸命生きている人間に。

私は二つの目をさらにかっ開いて一分一秒を見逃すまいと努力した。

 

そして始まる、クリエFチームの『Power of the Paradise』。

前日に少年俱楽部で放送されていたのを朝から何回も見返していたはずなのに、それとはまた違った印象が感じられて、

でも相変わらず、「命燃やして」の織山くんの頷きには、まだ先の見えない未来とそこに向かう強い意志がこもっていて。

全力でアイドルしてるクリエFのみんなは、最高にキラキラしていて。

とてもうれしそうな、でも少し泣いてしまいそうな黒田光輝くんの瞳につられながら。

 

『AinoArika』。22人全員が集合して荘厳なイントロが始まると同時に

「来たか…」という思いでいっぱいになった。

この曲をパフォーマンスする少年忍者は、とても壮大で、何倍も強くなることを知っている。

 

Aメロの織山君の切ない表情。一体16年間でどんな日々を過ごして来たら、あんな表現ができるのだろう。

 

間奏のソロダンスは、ダイナミックなダンスが圧巻で、でもそれでいて一つ一つの振りはなめらかで、繊細で、しなやかで、すごく美しくて…

ううん。いつも思うけれど、たぶん私の中の言葉の引き出しでは表すことができない、とにかく人の心を鷲掴みにするダンスなんだ。

 

『Make my day』での、織山君のソロの歌パート。しかも初っ端。

澄み切った、キレイでかわいい声だった。

一節しかなかったけれどそのことが幸せで、幸せで。

 

かと思えば、突然の『ペットショップラブモーション』。

川崎皇輝プロはまさかの店員さん。

前日に織山くんちゅーとかにゃんとか言わないかな~とつぶやいてた私にとっては私信すぎてさすがに驚きを隠せなかった。

ピョンだったけど。おまけに人参つき。

ファンレターに人参のシールを貼られることさえ嫌がる織山君が、人参をぎゅっと握りしめてあざとく歌っている姿に、微笑まないわけにはいかなかった。最強にかわいい。

 

クリエGチームが『YSSB』をパフォーマンスしてくれるのを観るというのも以前からのひそかな願望だったので、曲が始まった瞬間だいぶ大きな声が出てしまった。

一人一人の、一つ一つの動きが完成されている。

ほんとうに素晴らしくて、いくつ目があっても足りない。

 

個人的なクリエGチームのハイライトは、『SNOW DOMEの約束』のパフォーマンスだった。 

内村颯太くん、元木湧くんが振付、青木滉平くんがピアノ。

この前置きだけで一級品と約束されていたようなものであるが、ひとたび曲が始まると、いつもかっこいいダンスナンバーをガシガシ踊っているとは思えないほどの切なく優しい雰囲気にあっという間に吸い込まれていった。

中でも安嶋秀生くんの繊細な動きには心を奪われてしまった。

クリエGの新たな可能性が存分に感じられた曲だった。

 

そして、ライブも後半戦。

クリエGの楽しいMCが終わり、カメラが反対側を向くと、ステージには私服姿のような織山くんがぽつんと立っていた。

以前にISLANDTVでも話していた、ジャニーさんとのあの思い出を彷彿とさせるようなトレーナー。

「ああ、私はこれからすごいものを観るんだ。」心の中でつぶやいた。

激しい音楽とともに、織山尚大の舞がはじまる。

 

どうしてだろう、本当に不思議だ。

時間は全員に均等に与えられているはずなのに、彼の前では違う。

止まったり、ゆっくり動いたり、勢いよく進んだり。

空間の行末がすべて彼の意のままになってしまうのである。

でも彼がその舞を届けるのは、いつだって空間の先にいる誰かなのだと思う。

観客席でステージを見守っていたり、画面の向こうで祈っていたり、遠く空の上から見ている誰かなのだと思う。

だからこそ、彼の舞はこんなにも人の心を打つ。

決して綺麗事だけじゃない。悩みも、苦しみも、悲しみも、この世界の色々が詰まったもの。絶対に忘れたくないもの。

 

全員が、とてもとても輝いていた。

 

こんな素敵な時間に巡り合えて、私は本当に幸せ者だ。 これから先のことなんて誰にも分からない、でも今この時を必死に生きている少年忍者のみんな。 22人それぞれの青春のその先が、輝かしいものでありますように。